ピザ生地の発酵を調べたら想像の5億倍くらい「イースト」で脳がバグった話

生地

「発酵」ってあるじゃないですか。
ぼく、今までピザの発酵のこと完全に舐めてました。

まあ、こねた後にちょっと放置して、生地が「おっす、オラちょっとデカくなりましたわ」って言い出したらOKでしょ?くらいの感覚。もう、ただの休憩時間。合間のうざいCM。長めのかめはめ波くらいのタメ。

前回なんて常温で1時間適当に置いて、一回り大きくなったら冷蔵庫に2日間ぶち込んで焼いた。
でもうまい。 いや、引くほどうまかった。

ただ、ふと思ったんよね。
「なんで冷蔵庫入れたの? なんで2日なの? なんで常温1時間なの?」

自分の行動すべてに根拠がない。 なんとなくピザを焼いてる。
全然わからんけどAIに言われた通りにキーボード打ち込んでるときと一緒。同じノリで発酵してた。

ただ「なんとなく」生地を放置していた。 これじゃ、ピザ神に顔向けできないと思って調べてみたんだけど、そこには「イーストたちの生活」という名の密着24時が広がってた。

そもそも「発酵」とは何なのか

調べて驚いた。
発酵ってふくらませるだけの作業じゃないんすよ。

生地の中のイースト(酵母)っていう菌が、小麦粉の中の糖分をバクバク食って、炭酸ガス(げっぷ)とアルコール(食べかす)を吐き出しまくる現象。

要はイーストはずーっと飯食ってゲップし続けてる。

つまり生地の中でイーストたちの酒池肉林状態

小麦粉にはグルテンっていうタンパク質の網があるんだけど、イーストが吐き出したげっぷをこのグルテンが「逃さねぇぞ!」って繁華街のキャッチの兄ちゃんばりに四方八方からガッチリ体で壁を作って、力づくで閉じ込める。 で、膨らむ。

「ねえ、待ってよ。どこ行くの!」「ちょっとだけ聞いてって!」と

このグルテン兄ちゃんたちのキャッチ行為(保水性と包気性)がしつこければしつこいほど、焼き上がったときにフワフワ・モチモチ!。

それだけじゃない。
宴の副産物としてのアルコールや旨み成分が五条悟並みに爆誕して、あのピザ特有のいぃ~香りになる。

中の人
中の人

マジでsweetだぜ…!

発酵はただ膨らませるだけじゃなく、味そのものを錬成してた。

※グルテンとは

  1. グルテンの形成
    グルテンは、小麦粉そのものに最初から存在しているわけではありません。
    小麦粉には「グリアジン」と「グルテニン」という2種類のたんぱく質が含まれています。
    この小麦粉に水を加え、力を加えてこねることで、2つのたんぱく質が水と合体しスクラムを組み、新しく生まれ変わった姿が網目状の「グルテン」です。
  2. グルテンの性質と役割
    形成されたグルテンは、生地の中で非常に重要な働きをします。
    ・弾力と伸展性:グルテンのネットワークは、元に戻ろうとする力(弾力性)と、よく伸びる性質(伸展性)を持っています。これにより、生地が切れずに薄く伸びたり、まとまったりします。
    ・ガスを包み込む:パンを作る際など、酵母が発酵して出すガス(気泡)を、グルテンの網目構造が風船のようにしっかりと包み込み、外に逃がさないようにします。これがパンがふっくらと膨らむ理由です。
  3. グルテンが活かさせている食品
    私たちが普段口にする多くの食品で、グルテンの性質が活かされています。
    代表的なものとして、パン、パスタ、うどんなどがあります
    これらの食品が持つ特有の「もちもちとした食感」や「弾力(コシ)」は、まさにこのグルテンが作り出しているものです。

一次発酵と二次発酵、役割がデスノートの月とLくらい違う

発酵を2回やる理由も、今まで「一回で済ませろや」と思っててすみませんでした。 全然役割が違いました。

  • 一次発酵: こねられてバッキバキに緊張した生地(グルテン)をリラックスさせ、風味を叩き込むマッサージ&味付けの時間。

二次発酵: 切り分けて丸め直したことで再度「イヤッ、またバキバキになっちゃう!」ってなった生地を、焼く直前に「ほら、お前ならもう一伸びいけるだろ?」と背中を押す最終調整の時間。

この二次発酵の有無で、「ふんわりモチモチ」か「パリパリクリスピー」かのルートが決まる。

そう、ピザのマルチエンディングシステム。

「冷蔵発酵」という名のタイムリープ

冷蔵発酵。

やってることはイーストの活動時間を無理やり引き伸ばす術。

冷蔵庫という極寒の地に放り込むことで、イーストの活動スピードを極限まで落とす。 するとどうなるか。 本来なら数時間で食い尽くされるはずの糖分を、24時間、48時間かけてじっくり、ねっとり、濃厚に熟成させていく。

短時間発酵(1時間とか)だと、イーストの生きてる感(イースト臭)が強すぎて、味も単調。 でも冷蔵で48時間寝かせると、その雑味が消えてフルーティーな神の領域に辿り着く。

前回やった「常温1時間→冷蔵2日」は、言わば『先にアドレナリンをドバドバ出させてからコールドスリープさせる』っていう、サイコパス育成法だったわけですわ。そりゃあうまくなるわ。

一応、2パターンある。

パターンA:こねてすぐ冷蔵

冷蔵庫の中でイーストがゆっくり活動するため、冷蔵庫が一次発酵の場所になるイメージ。
管理が楽で失敗しにくい

パターンB:少し常温発酵させてから冷蔵

常温でイーストを先に活性化させてから冷蔵に入れるので発酵が安定しやすい。
ただし、常温の時間が長いほど過発酵のリスクが上がる。

恐怖の過発酵〜1週間放置した生地の末路〜

でも、長ければ長いほどいいってわけでもない。 過発酵という名のデッドエンドが存在する。

もし生地を1週間放置したとしよう。
中ではイーストが糖分を食い尽くして、「もう食うもんねぇよ!」って絶望して死滅してしまう。
すると

起こる現象原因(生地のメカニズム)焼き上がりへの影響
①耳が膨らまないイーストが1週間かけて糖分を食べ尽くし、ガス欠になった耳が1ミリ膨らまない
②手にベタベタくっつく酵素(プロテアーゼ)がグルテンを分解しすぎ、水分が外に漏れ出た大量の打ち粉が必要になり、成型が非常に難しくなる
③でろーんと伸び切るグルテンの網目構造が崩壊し、生地の弾力が消滅した戻る力がなくなり、薄く伸ばそうとすると簡単に破れる
④味が薄く、深みがない美味しさの源である糖分が枯渇し、香りがアルコール臭に変質した小麦の甘みがなくスカスカした味になり、歯切れも悪くネチャつく

ドラクエ7のダイアラックみたいに、もうワシしか残っていない老人と同じ絶望の状態です。 生きる気力という糖分が枯渇した生地に、明日ない。

救済ルート:絶望を希望に変える方法

過発酵してしまった生地は、残念ながら耳がふっくらしたピザ生地に戻すことはできません!
しかし、捨てる必要は一切ない!

救済ルートが2つあります。

ルートA:やっぱりピザが食べたい!(往生際の悪さ)

膨らまないならフォカッチャ? 揚げパン? 寝言言っちゃいけない。俺は今、ピザの口になってんだよ!という往生際の悪いあなたへ。
耳の膨らみというナポリのプライドをドブに捨て、薄焼きの「ローマ風クリスピーピザ」へ非情なるシフトチェンジを敢行しろ!

  • 麺棒で限界まで薄く伸ばす(容赦なき全否定)
    手伸ばし? ナポリの伝統? 知るかそんなもん。ここで取り出すのは麺棒。残ったかすかなガスすらも完全に押し出し、生地の息の根を止める勢いでペラペラの極限までぶちのめす。気分は完全に重量級ロードローラー。
  • 高温でパリッと焼く(ENROの覚醒)
    ここで我らが秘密兵器ENROの登場です。圧倒的高温を、今回はふくらませるためではなく水分を1滴残らず消し飛ばすために全振りする。焼き上がったソレはもはやピザではなく、イタリアの伝統を粉砕した塩せんべい。サクサクの暴力。

ルートB:別の料理にリメイク

  1. フォカッチャ(成形を諦めたディストピア)
    一番簡単。というか、敗北を受け入れた先の終着点。型や天板の壁に頼るため、生地がどれだけでろーんとなっていようが関係なし。器が全部解決。
    ・耐熱皿にオリーブオイルをたっぷりブチちまける。
    ・ドロドロの生地を放り込み、ストレスを発散するように指先でポコポコ穴を開けるように押し広げる。綺麗にする必要なんて1ミリもない。
    ・表面に岩塩、ローズマリー、そして追いオリーブオイルを振り、オーブンへ。焼き上がれば外はカリッと、中はオイルがじゅわっと染み出す本格フォカッチャの完成。最初からこれを狙ってましたけど?みたいな。
  2. ナポリ風揚げパン・ゼッポリーネ
    過発酵でグルテンがダルンダルンに緩みきったこいつを油に突き落とすと、まさかの奇跡的反応が。
    ・生地に青のりを大さじ1ほど混ぜ込んで練り上げる。磯の香りが脳をバグらせる。
    ・一口サイズに適当にちぎっては投げ、ちぎっては投げる。
    ・180℃の油に投げ入れる。すると油の熱で膨らみ、きつね色に化ける。 仕上げに塩をパラッと振れば、外はサクッ、中は信じられないほどモチモチの最強の酒のつまみが爆誕。ここも五条。手が止まらない。ビールが秒。
  3. グリッシーニ(小麦粉のミイラ化)
    ピザのアイデンティティ否定し、棒に転生させる。
    ・生地を細長くひも状に、あるいは雑にねじりながら引き伸ばす。
    ・表面にオリーブオイルを塗りたくり、粉チーズや黒コショウを振りかける。
    ・オーブンに入れじっくり時間をかけて水分を飛ばす。カリカリの棒になるまで焼き上げる。 ワインのつまみとして無限にかじり続けられる、おしゃれなミイラ。

感想

発酵のメカニズムから過発酵した死体の蘇生ルートまで一通り調べてみてた。

生地の中でイーストたちが繰り広げる酒池肉林の宴に思いを馳せ、過発酵というデッドエンドに戦慄する。 ピザ職人たちはイーストという名の生命体をコントロールしてた。

初心者はきっと失敗するだろう。加水率を間違え、温度管理をサボり、生地をでろんでろんに溶かす未来が見える。

でも、失敗したとしてもローマ風にしたりフォカッチャネ)へと転生を遂げるルートが用意されている。

どう転んでも、最終的には美味い酒のつまみになる

この圧倒的な安心感。すべてを包み込んでくれる包容力。

我が家のENROで小麦粉とイーストが織りなす生前葬を奏でてやる!

中の人
中の人

音量上げろ!!

次回、同じレシピで常温発酵時間だけを変えてみた!

脳をシビレさせる準備はいいか?

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